仕事の旧価値観をとことん考える夜。
美酒と美食と戯れる、定例会。
いつも伺ってたイタリアンF(仮名)が日曜定休になってしまったので、
新しいお店開拓で訪れたカジュアル日本食のお店にて、
N氏、仕事の愚痴が止まらぬ。
しかも慢性的寝不足がたたって、
締めのスキヤキの段階で爆睡をかまし、
若い大将にものすごく心配される始末。
お、おめーーー。
同業者だろーー!恥を知れ恥を。
酒に溺れたと勘違いされ、
つめたいおしぼりりとお冷持って来ましょうか?と聞かれたが、
いーえー。この人ただほんとに眠いだけなんで気にしないでください、と愛想良く対応するしかないオレ。
オシオキとして、スキヤキは全て私の腹の中へ。
ついでにグラスの赤も一人分追加。
ついでに心配かけさせた大将に対してせめてものお詫びとして、デザート食べるわ。
この女、ほんとに良く食うよなぁ。
連れ潰れてんのに。。。と、初対面の大将の控えめな視線を感じた。
N氏、、、。
週一の休日だってーのに、
早朝に一度仮眠して、
昼過ぎまで仕事して、
夕方〜翌12時の正味20時間しか自由時間がないのだから。
そんな生活がかれこれもう2年。
本人の好きなことで、
それでもやりたいっていうんなら、私の反応もまた違ったかもしれない。
だけれどN氏の口から出てくるのは、
仕事時間への不満、
何もフォローのない上司への不満、
新人がまるで続かないことへの不満、
そして全てを自分で背負い込むしかない現状への不満、
その割に見合ってないお給料(笑)
不満不満不満愚痴愚痴愚痴のオンパレード。
やばい。
漢字を羅列するだけで何だかグッタリする言葉だ。
私もそろそろ気分良く、美酒に酔いしれたいのだけれど。。。
申し訳ないのだが、N氏の愚痴を聞くことは、私の中のToDoリストには入っていないのだ。
というわけで、
『小さな飲食店構想』を食後のお茶の時に小さく、やんわり、提案してみた。
カウンターのみで10席以下のさー、
あ、6人くらい入れる個室は一個あっても良いかもね、
料理人1人、お運び1人で回せるくらいのキャパでどこか居抜きの店舗探してさー、
場所はあえて天神西中洲外してさー、
定休日は日水で確定してさー、
15時〜21時のちょっと変わった時間帯にしてさー、
盆暮れもしっかり店閉めてさー、
オール予約のみで対応してさー、
取材は全部お断りしてさー、
超高飛車経営にしてさー、
ビールはサッポロ入れてー、
日本酒とワインはちょっとしっかりめに入れてさー、
あ、接客?私がやれば良いじゃん??
ねーねー、ほんとにそんなお店できたら、
あなた毎日どう???
私は大変ワクワクしますがね。
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どんなに好きな職種でも、得意なことでも、
働く環境ってやっぱり大きくて、
そこが揺らぐと情熱はあっけないほどに冷めることを、私は知っている。
同じような経験をして、気付いて、こりゃダメだと実感して、
仕事との付き合い方を変えたら、
同じことをやってる毎日も変わったから、すごく良く分かる。
今のN氏の、やり場のない&行き場のない気持ち。
今ここにいる自分がどんだけ気分が良いかにとことんファーカスが当たると、
愚痴ももうあんまり出てこなくなって、
むかつく人ももう正直どうでも良くなる。
仕事できないバカとか、ほんとどうでも良くなる。
そんな自分の過程を知ってるからこそ、
何でN氏はここまで自分を殺して、愚痴を吐き続けながら、やっているんだろう、と。
旧価値観での働き方を貫く先に待ってるものが、ほんとにN氏の欲しいものなのか。
ちょうど良いから、考えてみたら良いと思う。
そこに探し求める答えはあるのか、
それによってN氏は救われるのか、
私には分かんないけど。。
ただ、N氏が死ななければ良いなと、思う。
強風が吹き荒れる春の夜、
そんなことを思いながら頂く赤ワインは、
ちょっと大人の味で渋かった。