ミニマリストの崖っぷち恋愛模様【5】

関係を解消したい、とラインを送ったのは、
帰省から戻った翌日のことだった。

社会的信用がまるでないことへの不安というより、

仕事の忙しさを理由に、そのことから逃げ続け、その結果がどういう問題に繋がるか、予測ができるはずなのに、それからも更に逃げたこと。
物件賃貸の名義やお金の工面を、私に平然と『そちらでお願い』と説明もなしに頼んできたこと。

相手も私も仕事をしている大人として、とても了承できることではなかったし、

本当に大切に思ってくれているなら、
男としてのプライドが少しでもあるなら、
絶対に簡単に口には出せないと思う。

『もしかしたら賃貸契約できないかも。』
『初期費用、準備できない。』


物件探しを白紙に戻そうと言った時、
N氏は何でもないという顔で言った。

『保険証とか身分証とか必要なものは、別に半月くらいで用意できるんだから、わざわざキャンセルなんかしなくて良い。』

口で簡単に言った、そのたった『半月』で終わる手続きを、この数年間まったく手をつけずにいたのは紛れもないN氏。


今までも何度かやった別れ話。
でも今回だけは、『わかった』と。
『全部準備ができたら迎えに行くから待ってて欲しい』と。


私は、実は、ずっと待ってた。
こうなる前から、予測を立て、重要性を理解し、きちんとN氏が自分で問題解決することを。

もう散々待ってたのだ。
N氏の準備が整うことを。


だから、返事はしなかった。
N氏の連絡先や履歴も全て消した。

もう待つことは、ない、と私は自分で決めたのだから。